インヒアレント・ヴァイス 【ネタバレあり】あらすじ
警察署でドッグを待ち構えているのは、“ビッグフット”・ビョルンセン警部補(ジョシュ・ブローリン)。ビッグフッドは、ドッグの元恋人であるシャスタがミッキーのみならず、グレンとも関係があったと指摘し、嫉妬に狂ったドッグが殺害したのだろうと推理。冤罪を被せられる寸前のドッグだったが、友人の弁護士・ソンチョ(ベニチオ・デル・トロ)の助力によって無事に釈放された。
しかしその直後、ミッキーが何者かによって誘拐され、行方不明になっていること、さらにシャスタも姿をくらましたことを知る。呆然としながらマリファナを吸うドッグのもとに一本の電話が入る。電話の主はサックス奏者のコーイ(オーウェン・ウィルソン)の妻を名乗る女性だ。コーイは少し前から行方不明になっており、程なくして警察から死亡の連絡が入ったという。
その直後、何者かから大金の振込があり、事態を怪しく感じた彼女は、ドッグに夫の死の真相を確かめてほしいと懇願するのだった。コーイはシャスタとも面識があり、ドッグはコーイの事件とシャスタ&ミッキーの失踪は深いところで関係していると直観する。
ドッグは一連の事件の手がかりを掴むため、スローンのもとを訪れ、話を聞くことに。水着姿で現れたスローンにドギマギするが、彼女がミッキーの口座を調べるために席を外すと気を取り直し、家の中を血眼になって捜索。しかし、大した手がかりは見つからないのだった。
その後、ドッグは現在の恋人である、検事のペニー(リース・ウィザースプーン)にミッキーとシャスタの情報を探ってほしいと懇願するが、断られてしまう。諦めて事務所で無為の時間を過ごしていると、アジア系の若い女性から手紙を受け取り、指定された店に向かったところ、そこには死んだはずのコーイがいた。コーイはドッグに対し「妻と娘の様子を見てきてほしい」と懇願。ドッグはその見返りに情報を要求すると、コーイから「黄金の牙」という名の豪華客船が一連の事件の鍵を握っていると教えられる。
ソンチョをレストランに呼び出すと「黄金の牙」の話をふっかけるドッグ。するとソンチョから、ミッキーが失踪前に「黄金の牙」に乗船していた事実を知らされる。さらに、「黄金の牙」とは船の名前であると同時に、ヘロインの密輸組織の名前であることも判明する。ドッグは再びコーイにコンタクトをとる。コーイはドッグから妻と娘の様子を聞かされ安心した様子を見せる。そして「シャスタを探せ」と言い残し、ドッグの前を去るのだった。
ドッグはシャスタの家を訪れる。無人の部屋にはドッグへの手紙が残されており、そこには付き合っていた当時の楽しい思い出が綴られていていた。
その後、ドッグは「黄金の牙エンタープライズ」なる会社を訪れる。受付を適当な言葉で言いくるめ、歯科医のドクター・ルーディ・ブラットノイド(マーティン・ショート)と面会すると、一緒にコカインをたしなむ。部屋を出るとそこは歯科医院の待合室となっており、そこでジャポニカという名の少女と出会う。車の不備により、ジャポニカに送ってもらうことになったドッグは、道すがら警察の検問を受けるが、事なきを得る。
帰宅後、ホワイトボードに事件に関わる人物たちの相関図を書きつけ、思考を整理するドッグのもとにビッグフッドから電話が入り、プラットノイドが突然死を遂げたと知らされる。
数日後。ドッグは今度は精神病院に潜入する。病院のスタッフはシャスタの顔が描かれたネクタイをしている。また、そこにはコーイの姿がある。コーイは周囲にバレないように「何しにきた」とドッグを牽制する。コーイの忠告をよそに院内を徘徊するドッグ。すると中庭にミッキーの姿がある。ドッグはミッキーにシャスタの居場所を訊くが、悲しい顔をするばかりで答えず、「早くここから去れ」と忠告される。
精神病院の中でテレビを見ていると、ビッグフッドが出演するCMが流れる。思わず笑うドッグだったが、そこにシャスタが現れる。シャスタは家族の都合で海外に行っており音信不通となったことを詫び、ミッキーの件はすべて解決したと告げる。久々に再会した2人は付き合っていた頃のように、裸で抱き合うのだった。
精神病院から戻ったドッグはペニーのもとを訪ねる。彼女が保有する犯罪者リストに目を通していると、エイドリアン・プロシアという男の名前を見つけた。プロシアは市警に雇われた殺し屋であり、かつてビッグフッドの元相棒を殺害していた。ドッグは「暇つぶしに」プロシアのもとを訪ねるが、居合わせた男に監禁されてしまう。
ドッグはなんとか手錠を外し、部屋から抜け出すと男から銃を奪い、撃ち殺す。程なくしてビッグフッドがその場を訪れ、プロシアの部屋にある大量の麻薬は「黄金の牙」のものだと告げる。ドッグはそれを知り、ビッグフッドが押収した麻薬をこっそり奪い、持ち帰る。
翌朝。ドッグのもとに一本の電話が入る。電話の主は「黄金の牙」と関係のある男である。待ち合わせ場所に向かうと、ジャポニカの父・クロッカーがいる。彼は「黄金の牙」の仲介者であり、ドッグから麻薬を取り返したいのだった。ドッグは麻薬を渡す代わりに、コーイを自由にするように要求。麻薬とコーイのトレードが行われ、コーイは無事自由の身となり、無事家族のもとに帰還するのだった。
エピローグ。ドッグとシャスタが肩を寄せ合ってドライブをしている。「ヨリを戻したわけではない」と笑う2人は安堵に満ちた表情を浮かべている。