キレキレのアンジーの演技に注目〜演技の魅力
本作には、スザンナ役のウィノナ・ライダーをはじめ、その後さまざまな映画で活躍する女優たちが数多く出演している。注目は、なんといってもリサ役のアンジェリーナ・ジョリー(アンジー)の演技だろう。持ち前のカリスマ性と横暴さで幅を利かせながらも、ふとした瞬間に内面の脆さを見せるリサの揺れる内面をアンジーは、目線一つ、振る舞いひとつで巧みに表現している。
リサ役のオーディションには多数の女優が参加したが、アンジーのオーディエンスの記録映像を見たスタッフが、リサ役はアンジーしかいないと即決したという。加えて、彼女自身も、「リサは自分自身のペルソナだった」と語っており、リサと彼女が一心同体であったことがうかがえる。
アンジーの演技とは対照的に、主演のライダーの抑えた演技も印象的である。彼女は、リサをはじめとした精神病患者の中で揺れる内面を繊細に演じている。
冒頭、ライダー演じるスザンナは、アスピリン(解熱鎮痛剤)と酒の大量摂取で昏倒し、病院に運び込まれると「手を調べて、骨がないから」と告げる。彼女の抱えている病が心に根ざしていることを示す、印象的なセリフだ。
本作でアンジーはアカデミー賞助演女優賞を受賞し、オスカー女優へと成長。一方、ライダーは2年後の2001年に窃盗罪で逮捕され、しばらくハリウッドから姿を消している。本作は、出演している女優たちにとってのターニングポイントだったのかもしれない。