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ナオミ・ワッツの“豹変”に注目〜配役の魅力

ナオミ・ワッツ(第54回カンヌ国際映画祭より)
ナオミワッツ第54回カンヌ国際映画祭よりGetty Images

本作の配役といえば、ベティ/ダイアン役のナオミ・ワッツとリタ/カミーラ役のローラ・ハリングを挙げないわけにはいかないだろう。二人とも、ベッドシーンも辞さない体当たりの演技で観客を存分に魅了している。

中でもナオミの演技は鳥肌モノだろう。無垢な眼差しで田舎からハリウッドにやってくるベティと、カミーラへの嫉妬に狂い堕ちていくダイアンという全く異なる二人の人物を完璧に演じ分けている。

本作に出演する以前は、B級映画やカルト映画への出演で食いつないでいたナオミ。同郷の親友・ニコール・キッドマンがハリウッドスターへの階段をトントン拍子に登っていくのとは対照的に鳴かず飛ばずで、俳優引退を考えたこともあったという。

しかし彼女は、本作で公開時は全米映画批評家協会賞主演女優賞など数々の賞を受賞し、大ブレイクを果たすことになる。その意味で、売れない女優ダイアンの役は、当時のナオミにとっては自分の境遇を投影できる適役だったのかもしれない。

なお、本作には『踊る大紐育』(1949年)などで知られるハリウッドのベテラン女優アン・ミラーが大家のココ役で出演。本作は、彼女にとって20年ぶりとなる映画出演であり、彼女の最後の出演作となった。

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