船内を細部まで再現
タイタニック号が沈没した時代や場所を厳密に再現するため、各部門の責任者、特に衣装、プロダクション・デザイン、エフェクトの責任者は、細部に非常に注意を払い仕事をする必要があった。実物のタイタニック号の写真や、歴史、設計図を駆使し、船内を細部まで再現。
さらに、広大なセットに登場するスタント・パフォーマーや、背景役となるエキストラに服を着せ、小道具で武装し、1912年という時代に合う人物を形作る。
そのような強いこだわりから、『タイタニック』の規模は拡大し、事前に交渉していた製作予算と撮影スケジュールに負担をかけ始めた。その結果、製作予算は当時の最高記録を更新した2億ドルにまで膨れ上がり、撮影日数は138日から160日に伸びた。
撮影の大部分を撮り終えると、本作の撮影クルーは”野心的な試み”とも言えるレベルの高いリアリズムの表現や、その職人技を達成するため、妥協することなく精力的に働いた。
その後、映画『タイタニック』完成に必要な作業量が、当初予定していた1997年7月公開に合わせるためには、あまりにも無謀すぎると痛感したキャメロン監督は、パラマウントと20世紀スタジオに公開延期の知らせを伝えた。既に『タイタニック』製作プロジェクトに莫大な資金と時間を投資したパラマウントと20世紀スタジオは、この申し出を容認し、公開は無事に延期が確定。1997年12月19日の公開に変更した。
しかし『タイタニック』には、製作に時間やお金が掛かるといった問題以外にも、乗り越えるべき課題が存在した。それは『タイタニック』の上映時間だ。