ホーム » 投稿 » 海外映画 » 劇場公開作品 » 上映時間カットの危機にどう対処した? 映画『タイタニック』、 製作はギャンブルだった? 波乱に富んだ製作秘話を深掘り » Page 4

上映時間カットを免れる代わりにギャラ没収

ジェームズ・キャメロン監督(『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ワールドプレミアより)
ジェームズキャメロン監督アバターウェイオブウォーターワールドプレミアよりGetty Images

上映時間が3時間14分と比較的長い本作は、映画館が1日の間に何度も上映スケジュールを組むことができなくなるため、販売できるチケットの枚数が減少する。

パラマウントと20世紀スタジオは、『タイタニック』の上映時間を短くし、追加上映を行い、より多くの興行収入を得ようとキャメロン監督に提案した。しかし、キャメロン監督はこの要求をキッパリと断り、その代わり出資者をなだめる手段として、キャメロン監督のギャラの一部は没収されることとなった。

さらにもう一つの問題があった。それは、キャストのスター性欠如により、財政的困難に直面していたという点だ。

俳優レオナルド・ディカプリオと、女優ケイト・ウィンスレットが映画スターではなかった時代を思い出すことは難しいかもしれない。しかし、1997年当時、今では人気俳優であるディカプリオは、映画『ロミオとジュリエット』(1996)や、映画『ギルバート・グレイプ』(1993)といった作品に出演を果たし、スター街道を駆け上がっている最中であった。

一方、ウィンスレットは、ローズ役でスターとなる以前は、ほんのわずかに映画作品に出演した経験があるだけで知名度は非常に低かった。キャメロン監督は、この比較的新進気鋭の2人を主役に据えた大作に、2億ドルもの大予算を投じたのだ。

その結果、3,300万ドルのオープニングを果たした映画『スクリーム2』、2,500万ドルのオープニングを果たした映画『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』と同時期に公開された映画『タイタニック』は、オープニング週末で、2,800万ドルという、なんとも言えない数字を記録した。この数字は製作とマーケティングに費やされた前代未聞の高額な金額と比較すると良い成績とは決して言えなかった。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!