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スザンヌ・ロタールの悲壮感あふれる演技に注目〜演技の魅力

アンナ役のスザンヌ・ロタール
アンナ役のスザンヌロタールGetty Images

本作のMVPは、なんといってもアンナ役のスザンヌ・ロタールだろう。リビングで猿轡をはめられて後ろ手に縛られながら顔面蒼白で泣き腫らしているシーンはあまりにもショッキングで、不条理な状況に置かれた者の悲壮感がひしひしと伝わってくる。

なお、ハネケによると、彼女は楽屋で30分泣き、目を腫らせてから撮影に望んだのだとか。彼女の役者魂が、本作を強度ある作品にしているといえるだろう。

また、ゲオルグ役のウルリッヒ・ミューエの絶望感たっぷりの演技も印象的である。『善き人のためのソナタ』で主演を務め世界的な知名度を経た彼だが、ハネケの作品では『べニーズ・ビデオ』で早くから出演、息子の殺人を隠蔽しようとする父親を怪演している。

ちなみに、本作のハリウッド版『ファニーゲーム U.S.A』では、アン(アンナ)役をナオミ・ワッツが、ジョージ(ゲオルグ)役をティム・ロスが好演。オリジナル版とはまた一味違う演技を見せている。

しかし、2人とも世界的なハリウッドスターだけに、いささか生々しさが薄れている点は付け加えておいていいだろう。なお、ウルリッヒとロタールは、本作の同年に結婚し、その後、両者共に50代で亡くなっている。その数奇な運命に、何らかの因果を感じざるを得ない。

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