ホーム » 投稿 » 海外映画 » レビュー » 映画「ブラック・スワン」衝撃の展開と狂気のラスト…その評価は?<あらすじ 解説 考察 レビュー> » Page 5

ブラック・スワン 配役の魅力

主役のニナを演じたナタリー・ポートマンは、1年以上にも及ぶクラシックバレエの訓練を積み、食事制限によっておよそ10キロもの減量を敢行。主役に抜擢されたプレッシャーで、心をすり減らしていく踊り子を迫真の芝居で演じ切っている。

とはいえ、たった1年でクラシックバレエをマスターすることは至難の技であり、舞台のシーンではダンス・ダブル(替え玉)の協力を得ている。ニナの舞いはナタリー・ポートマンとプロのダンサーの映像を巧みに繋ぎ合わせることで表現されているのだ。

ニナの座を脅かす後輩バレリーナは1983年生まれのミラ・クニス、盛りを過ぎた元看板バレリーナを演じるのは、1971年生まれのウィノナ・ライダーである。1981年生まれのナタリー・ポートマンは両者の間に挟まれており、現実の構図が作品に反映されることで、それぞれの芝居には強靭なリアリティが宿っている。

現実的な要素をフィクションに持ち込む手法は、ダーレン・アロノフスキーの前作『ザ・レスラー』でも見られ、同監督の十八番とも言えるもの。トマ役のヴァンサン・カッセルの芝居は若干仰々しいが、情熱的な演出家像を説得力豊かに演じきっている。

1 2 3 4 5 6 7 8