ニューマンとレッドフォードの友情ー配役の表現
本作の演技といえば、ブッチ役のポール・ニューマンとサンダンス役のロバート・レッドフォードを挙げなければならないだろう。苦み走った大人の魅力を放つニューマンと、王子様のように甘いマスクをしたレッドフォード。そんな2人のバディがとにかく粋でかっこいいのだ。
当初、サンダンス役は当初スティーブ・マックイーンが起用されていたが、都合によりマックイーンが降板。その後、ニューマン自身の強い推薦から、当時無名のレッドフォードの起用が決まったという。
なお。撮影現場では、いきがってリハーサルを固辞したり、自らスタントをやりたがったりするレッドフォードをニューマンが説得することが多かったものの、撮影が進むと2人はジョークを交わせる仲になっていったのだという。
1925年生まれのニューマンと1936年のレッドフォードの実年齢はひと回りほど離れているが、劇中では年の近い兄弟がじゃれ合っているかのような、丁々発止の掛け合いが秀逸。とりわけ、追跡者を振り切るために崖から川に飛び込もうとする直前、サンダンスが駄々っ子のように発する「俺は泳げないんだ!(I cant swim!)」というセリフは、映画史に残る名セリフだ。
少し年の離れた青年同士が築く同胞的な関係を魅力的に描くスタイルは、本作以降、多くの映画・ドラマで繰り返し描かれ、たとえば日本のドラマ『ビーチボーイズ』(1997)にも本作の系譜を見出すことができるだろう。
ニューマンとレッドフォードはその後、ロイ・ヒルの犯罪コメディ映画『スティング』(1973年)で再共演を果たし、大ヒットを記録。その後、共演することはなかったものの、2008年にニューマンが死去した際には、レッドフォードは「ポールはいきがっていた自分に寛容の大切さを教えてくれた」と追悼の言葉を送っている。