トニ・コレットの全身全霊の演技ー配役の魅力
本作の演技といえば、やはり主演のトニ・コレットは外せないだろう。
ハリウッドを代表する名バイプレイヤーとして、確固たる演技力でさまざまな作品に出演してきたトニ。悪魔に憑りつかれ、コロコロと表情が変わる演技は圧巻で、「キャリアの集大成」という声もあがっている。
なお、本作のオファーを受けた際、シリアルな役を立て続けに受けていたことからコメディをやりたかったが、脚本を見て即決したとのこと。「第28回ゴッサム・インディペンデント・フィルム・アワード」で女優賞を受賞するなど、インディペンデント映画では華々しい受賞を飾っている。
また、チャーリー役のミリー・シャピロにも注目だ。『マチルダ』をはじめとするブロードウェイミュージカルで知られる彼女だが、独特の佇まいで本作の恐怖を倍増させている。ただ、彼女の場合は、もともと歯や骨に影響を与える鎖骨頭蓋異形成症という病気を患っており、先天的な病気を抱える役者を配役するのは倫理的に意見が分かれるところだろう。
そして、ピーター役のアレックス・ウルフも忘れてはならない。『サラブレッド』(2017)や『オールド』(2021)といったスリラー映画でも知られるアレックスだが、本作では業に囚われたピーターらしく、陰鬱なオーラを醸し出している。