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特徴的な顔立ちの役者たち〜配役の魅力

映画『ファーゴ』の1シーン。フランシス・マクドーマンド(左)、ジョン・キャロル・リンチ(右)
映画ファーゴの1シーンフランシスマクドーマンド左ジョンキャロルリンチ右Getty Images

本作の配役といえば、やはりマージ役のフランシス・マクドーマンドを挙げないわけにはいかないだろう。本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞した彼女。作中では、どこか牧歌的ながら強い芯を持ち、明晰な推理で事件の真相に辿り着く警察署長を、抑制の効いた演技で表現している。

なお、マクドーマンドは2015年にアカデミー賞とエミー賞、トニー賞という「演技の三冠」を達成している。このことからも、彼女がいかに卓越した女優かが分かる。

誘拐の実行犯を演じる人相の悪い2人にも注目。事あるごとに「変な顔」といじられるカール役のスティーヴ・ブシェミと、言葉少なに殺人を犯すゲア役ピーター・ストーメアがなんともいい味を出している。とりわけ、ゲア役のピーター・ストーメアは、コーエン兄弟のその後のヒット作『ノーカントリー』に登場する殺人鬼・シガーを彷彿とさせる。

ちなみに、人相が悪いのはこの2人組だけではない。事件の張本人であるジェニー役のウィリアム・H・メイシーから、ジェニーがすれ違うウェイトレス、マージに2人と過ごした夜をあっけらかんと明かす娼婦に至るまで、どのキャストも一度見たら忘れられない特徴的な顔立ちをしており、失礼ながら愚鈍で野暮ったい印象を与える。

この辺りのキャスティングの巧みさは、コーエン兄弟のユーモアのセンスの賜物といえるだろう。

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