『ガープの世界』【ネタバレあり】あらすじ
そんなある日、久しぶりにクッシーに再会したガープは、彼女に誘惑される。コンドームがなかったため、一線を超えてはいなかったが、2人が裸で抱き合っているところを見たプーは、ヘレンに2人の行為を見せた。
そんなことを知らず短編小説を書き終えたガープは、ヘレンに小説を見せるが、ショックを受けて怒っていたヘレンは原稿を投げ捨ててしまった。
ガープは、自分が早死にする運命にあると感じており、早く作家にならなくてはという思いからニューヨークへ行くことにする。
なぜかジェニーもニューヨークについてきて、2人は共に執筆に励む。性欲がないジェニーは客引きする娼婦に取材をして『性の容疑者』という自伝的小説を書き、出版社に売り込んだ。
ガープは得意な空想で新たな小説を書き上げ、ヘレンの元に行くと、小説を読ませた。ガープの書いた悲しい物語に胸を打たれたヘレンは、彼のプロポーズを受け入れ、2人は結婚した。
ジェニーの小説はフェミニストの女性たちに支持され、大ベストセラーとなる。ガープの小説は鳴かず飛ばずだったが、ジェニーの子どもとして有名になってしまう。
しかしヘレンとの間にダンカンという息子を授かり、ヘレンが大学で働き、自分が自宅で家事をこなす生活は心地よく、ガープは幸せだった。
ジェニーは屋敷で、エレンという少女がレイプされて舌を切られてしまった事件に抗議する女性たちの団体と暮らし始めた。この団体の女性たちは、抗議のために自らの舌を切っており、ガープはこの行動をやりすぎだと怒りを感じていた。
女性たちは男を嫌っており、例に漏れずガープも敵対視されていたが、性転換手術をして女性になったロバータだけはガープのことを嫌わなかった。
そんな中、ガープとヘレンは2人目の男の子・ウォルトを授かった。ガープと親しくなり、家に遊びに来たロバータは、2人のこどもを我が子のように可愛がり、子供達も彼女に懐いていた。
しかし30歳になったガープは、自分のファンだというベビーシッターと深い関係になってしまった。すぐに自分が間違っていたことに気づいたガープは、これからは家族のことを大切にしようと誓う。
それからガープが同じ過ちを繰り返すことはなかったが、ヘレンはこのことに気づいており、教え子のマイケルと浮気するようになる。
ジェニーの屋敷を訪れたガープは、被害者のエレンから届いた、抗議運動するのはやめてほしいという旨の手紙を見る。エレンは、自分のために女性たちが舌を切ることに責任を感じていた。
ある日、ヘレンとマイケルの浮気を知ったマイケルの彼女から、ガープ宛に手紙が届く。この手紙でヘレンの浮気を知ったガープは、2人の子どもを連れて家を出た。
帰ってきたヘレンは、置き手紙を見てガープが出て行ったことを知ると、マイケルと別れるから帰ってきてほしいと電話で懇願した。だが、許すことのできないガープは、電話を切ってしまった。
ヘレンは、すぐにマイケルに電話をして別れを切り出すが、納得できない彼が家に来てしまう。
ヘレンはマイケルの車に乗り込んで話しをつけようとしていたが、家に電話をしてもヘレンが出ないことを不審に思ったガープは、車に2人の子どもを乗せて家に向かった。
ひどい雨が降る中、ガープは家の近くに来ると、車のライトを消してガレージに車を入れた。しかし、そこに停めてあったマイケルの車に気づかず衝突し、大事故を起こす。この時ヘレンは、あろうことかマイケルと車で事に及んでいた。
これによってウォルトは亡くなり、ダンカンは右目を失ってしまった。ガープとヘレンの命は助かったが、2人の関係は完全に崩壊した。ガープはヘレンを許さず、ヘレンは自分のせいで子どもの命が失われてしまったことにショックを受けていた。
そんなガープとヘレンの様子を側で見守っていたジェニーだったが、ついにガープの態度を注意し、赦すことの大切さを教えた。
ジェニーの言葉にハッとさせられたガープは、ヘレンに歩み寄る。息子のダンカンも義眼に慣れ、家族はまた新たに進み始めた。
ガープはエレンについての小説を書くことを思いつき、女性たちの過激な活動を止めるために、『エレン』というタイトルの本を出版した。
その後、ヘレンは女の子を出産し、ガープの母親と同じジェニーと名付ける。
母親のジェニーは、用心棒のロバータを連れてフェミニストたちの集まりへ出かけていった。その時、ガープは母親を見送りながら悪い予感を感じていた。その予感は現実のものとなり、ジェニーは広場で撃たれて亡くなってしまう。
ジェニーの葬式が執り行われることになるが、ジェニーの支持者たちが男性の参加を許さなかった。息子であるガープも出席を許されなかったが、ロバータは彼に女装させて追悼式に参加させた。
男を憎む女性たちの中には、プーもいた。プーはガープを見つけたが、ロバータがガープを女性たちから守り、逃した。そんな中、エレンが現れて裏口へ案内してくれた。エレンはガープが書いた本に感謝していた。
数年後、ガープとヘレンはこどもたちと幸せに暮らしていた。ヘレンは教職に戻り、ガープは母校でレスリングのコーチを務めていた。
ガープがレスリングの練習を見ていると、そこへプーが現れ、突然ガープに向かって銃を撃った。深い傷を負ったガープはヘレンに付き添われてヘリコプターで緊急搬送される。
ガープはこどもの頃からの憧れだった空を飛ぶという夢を叶え、ヘレンに微笑むと、目を閉じた。