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多様性やLGBTQを扱った革新的な名作ー演出の魅力

ロビン・ウィリアムズ
ロビンウィリアムズGetty images

本作は、全米で大ベストセラーとなった小説家ジョン・アーヴィングの自伝的長編を実写化した作品。監督は『明日に向かって撃て!』(1969年)や『スローターハウス5』(1972年)で知られる名匠ジョージ・ロイ・ヒルが務める。

”歴代最高のコメディアン”といわれるロビン・ウィリアムズ。ハートウォーミングの笑いの中に人生の悲哀をにじませる彼の演技は、没後10年近く経った今も語り継がれている。『ガープの世界』は、そんな彼の魅力が詰まった出世作だ。

また、フェミニストのカリスマへと祭り上げられていくガープの母親・フィールズや、トランスジェンダーのフットボール選手・ロベルタなど、LGBTQの感性を先取りしたような人々も本作の魅力だろう。

女装したキャラクターや同性愛者が「物笑い種」として扱われる中で、LGBTQのキャラクターの人生を丹念に描いた本作は、いかに画期的だったかが分かるだろう。

そして、そうした個性豊かなキャラクターの中心に、ウィリアムズ演じるガープがいるというのもなんとも興味深い。そういった意味で本作は、今の時代にこそ観るべき作品だと言えるだろう。

本作以外にもジョン・アーヴィングの作品は、『ホテル・ニューハンプシャー』、『サイダー・ハウス・ルール』も映画化されている。人生をどこか達観した視点から描くスタイルはどの作品にも共通しており、それは本作随一の名言にも表れている

「人は誰でも死ぬのよ。私だって死ぬし、あなただってずっと後になれば死ぬわ。でも肝心なのは、死ぬ前に人生があるってことなの。死ぬまでに一体どんな人生を送るのか、これが私たちの素晴らしい冒険なのよ」

子供のガープに母・ジェニーがかけたこの言葉は、通奏低音のように作品全体を大らかなムードで包んでいる。

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