失敗作ばかりの漫画実写化…キャラ再現度が完璧だった俳優は? 映画の出来はイマイチだけどキャストは最高だった作品5選
漫画原作の実写といえば、潤沢なお金をかけても表現しきれない世界観と、原作ファンのキャラに対するイメージがどうしても付きまとい、どんなに有名な監督やキャストを起用しても大爆死してしまうことはある。今回は、作品としては大コケしたが、そんな中でも再現度が高かったキャラクターを演じた俳優を5人紹介していく。(文・ZAKKY)
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熱血漢・虹村億泰を熱演
『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017)
虹村億泰/新田真剣佑
監督:三池崇史
原作:荒木飛呂彦
脚本:江良至
出演:山﨑賢人、新田真剣佑、神木隆之介、小松菜奈、岡田将生、観月ありさ、國村隼、伊勢谷友介、山田孝之
【作品内容】
海沿いの町・杜王町(もりおうちょう)に暮らす高校生・東方仗助(山﨑賢人)はスタンドと呼ばれる特殊能力を持ち主であり、壊れたものや怪我を治すことが出来る。
杜王町では不審な変死事件が多発しており、仗助はこの一連の事件の背後には別のスタンド使いがいることを知る。
仗助は、己のスタンドを武器に、町を守るために立ち上がる。
【注目ポイント】
1986年から連載され、今や全世界的な人気を誇る国民的大河漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。
TVアニメシリーズ版は、2012年の第一部放送から始まり、制作陣たちの圧倒的な「ジョジョ愛」が炸裂し、ファンたちからも大好評。各部を約2年おきに放送し、2024年現在は、第7部の制作を今か今かと待ちこがれるところだ。そんなアニメ版とは相反して、ジョジョ史上の黒歴史として名高い実写版映画が今作である。
今作は、原作漫画の第4部である『ダイヤモンドは砕けない』の、いくつかのパートを実写化している。封切当時、世界中の“ジョジョラー”(ジョジョのファン)たちは、不安と期待が入り混じる中、今作の観賞に挑んだ。しかし、残念なことに違和感をおぼえるポイントが多く、原作ファンは肩を落とし、劇場を後にした。
メガホンをとったのは『殺し屋1』(2001)で、本来の主人公であるイチ(大森南朋)の敵役である垣原(浅野忠信)を主人公に据え、『クローズ ZERO』(2007)ではオリジナルキャラクター・滝谷源治(小栗旬)を生み出すなど、漫画原作の実写版の策士として名高い三池崇史監督。
そんな名監督に対し、「どうした!三池監督!」と、思わずシャウトしてしまったことを、つい昨日のことのように感じられるのが、この駄作だ。
『ジョジョ』の歴史は長い。物語の設定やキャラクター像も複雑なため、本当に原作を理解していないと実写化はほぼ不可能だ。むしろ、よく実写化に踏み切ったという勇気を称えてもいいくらいだ。
そして、役者陣の演技に関しても(全員ではないが)、拍手を送りたい。特に虹村億泰役の新田真剣佑には、もし『ジョジョアワード』なる授賞式があったとしたら、「激励賞」を授与したいところだ。
本来、原作ではイケメンでもない三枚目役の虹村億泰役に、「イケメンすぎる新田真剣佑はどうなん?」と懸念する声は当時から上がっていた。しかし、蓋を上げると、虹村億泰の家族思い・友達思いの熱血漢を、見事に熱演。
イケメンだの三枚目などは関係のない、真剣佑版の億泰がそこにはいた。また、CG映像を駆使した特殊能力「スタンド」である「ザ・ハンド」を発動させるアクションシーンもお見事! 原作に決して劣らない迫力を醸し出した。
ここでふと思い付いたのだが、「虹村億泰=新田真剣佑」を主演とした別角度からの視点の実写版『ジョジョ』にしてしまえばよかったのではないだろうか。
そもそもの敵である億泰の兄・虹村形兆(岡田将生)や、ゾンビと化してしまった自身の父を中心とした「虹村家」に東方仗助(ジョジョ)たちが絡んでくる。
こりゃ、面白くはないだろうか!
映画『殺し屋1』(2001)で、垣原を主人公にした、あなたにならできたはずだ、三池監督! 勝手なことを書いてしまったが、新田真剣佑を主演だと思って鑑賞すれば、また別の評価ができるかもしれない。