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原作を熟読して役づくりに励む

『進撃の巨人』(2015)

ハンジ/石原さとみ

石原さとみ
石原さとみGetty Images

監督:樋口真嗣
原作:諫山創
脚本:渡辺雄介、町山智浩
出演:三浦春馬、長谷川博己、水原希子、本郷奏多、三浦貴大、桜庭ななみ、松尾諭、水崎綾女、武田梨奈、石原さとみ、ピエール瀧、國村隼、高橋みなみ、KREVA

【作品内容】

100年以上前、突如として現れた巨人に多くの人類が捕食された。生き残った人々は巨人から身を守るため壁を作り、その内側での暮らしを営むようになっていった。多くの人間が壁の内側での暮らしに甘んじている中、エレン(三浦春馬)は壁の外の世界に想いを馳せていた。

しかしそんな時、壁の高さを超える超大型巨人が、壁を壊して街を襲った。次々となだれ込んでくる巨人たちに太刀打ちできない人間たちは、またもや多くの犠牲を払ってしまう。2年後、エレンは巨人を駆逐するため、調査兵団に入団する。

【注目ポイント】

こちらも問題作である。

何より原作屈指の人気キャラである「リヴァイ」に代わって苦肉の策で生み出されたオリジナルキャラ「シキシマ(長谷川博己)」の存在が原作ファンの気持ちを逆撫で。“原作無視の実写化”として悪い意味で大きな話題となったのだ(時代が一巡して、「シキシマはシキシマでよくね?」という意見が出てくることを祈る)。

さて、そんな原作ファンから当時、猛攻撃を受けたこの作品において、ほぼ唯一といっていい、ポジティブな評価を受けたのが、石原さとみが演じるハンジであった。まさに希望の女神である。

石原は、原作のみならず、アニメ版も徹底的に熟読・鑑賞し、巨人を愛でるマッドサイエンティストであるハンジのキャラクター性を自身に叩き込んだという。

周知の通り、石原さとみは天性の色気を持つ女優である。『シン・ゴジラ』(2016)における、カヨコ・アン・パタースン役にて微妙な発音の英語を発し、ディスられもしたが、結局そのセクシーさでカヴァーした石原の底力に驚いた人も少なくないだろう。

実写版『進撃の巨人』においても、石原さとみ特有の色気は健在である。とはいえ、別にセクシーシーンがあるわけではない。本作で彼女が演じたハンジは、巨人の駆逐に従事する一方、並々ならぬ探求心から、巨人愛好家としての顔を持つという複雑なキャラクターである。任務中はゴーグルをつけており、実写版では顔を煤で汚したり、口を大きく開けて叫ぶシーンがあり、色気よりも勇ましさが際立つ。

アクションシーンにおける、キリッとした表情には、女性ファンも思わず悶絶してしまったのではなかろうか。それだけに、原作無視の設定やストーリー展開が今更ながら悔やまれてならない。

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