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日本映画史上もっとも泣けるクライマックスは…? 感動のラストで知られる邦画の名作5選。ハンカチ必至の逸品をセレクト

text by ニャンコ

家族や兄弟、恋人との別れなど、観客に幾度となく涙を流させてくれる日本映画の中でも、観終わった後もその世界観に浸っていたいと思わせる名作は数少ない。今回は、映画好きなら観ておきたい、とにかく泣きたい時におすすめの感涙映画を5本セレクト。クライマックスとともに作品の魅力を紹介していく。(文・ニャンコ)

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人生の再生と愛の力に胸を打つ

『幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ』(1977)

主演・高倉健【Getty Images】
主演高倉健Getty Images

上映時間:108分
監督:山田洋次
原作:ピート・ハミル
脚本:山田洋次、朝間義隆
キャスト:高倉健、倍賞千恵子、桃井かおり、武田鉄矢、渥美清

【作品内容】

恋人にフラれた鉄也(武田鉄矢)は、ヤケクソの気分のまま新車を買い、北海道に向かう。網走に着いた鉄也は、同じく恋人にフラれ傷心の朱美(桃井かおり)に出会い、さらに2人は海岸で網走刑務所を出所したばかりの勇作(高倉健)と知り合う。旅をともにすることになった3人。その過程で勇作は元妻である光枝(倍賞千恵子)との思い出話を語り始める。

【クライマックスは…】

自分の身勝手な行動のせいで、離婚した勇作だが、彼は刑務所から、「もしまだ自分を思ってくれているなら、家の前の竿に黄色いハンカチをあげてほしい。そうでなければ黙って引き返し、二度と姿を現さない」という葉書を光枝に出していた。

そして欽也と朱美と共に、夕張に向かうことに。道中でも様々な不安と罪悪感が勇作を襲うが、二人の後押しもあり、勇作は心を決める。そして、遂に家の前に到着した彼らの目に飛び込んできたのは、風に靡いた何十枚もの黄色いハンカチだった。

【注目ポイント】

本作は、過去の過ちへの赦し、そして新しい人生の始まりを描いた作品である。そして、勇作が長い間切望していた妻との再会を迎えるシーンで幕を閉じる。

果たして妻は過去の過ち、そして自分を許してくれているのだろうか。そんな勇作の心情が観客にも伝わってくる。そして勇作の不安と希望が交差する中、家のポストにかかる黄色いハンカチは、妻の許しと愛を象徴しており、黄色いハンカチが現れた瞬間、勇作の顔に浮かぶ解放感と喜びは、観客にも深い感動をもたらしてくれる。

また勇作との旅に同行している鉄也や朱美も喜びに酔いしれており、その姿が見ている我々の心情と重なり、更なる感動を呼ぶ。

本作のラストシーンは「人間は過去のあやまちを超えて新しい人生を歩むことができる」という希望を表現している。1人の人間の再生とそれを可能にした愛の力をまざまざと見せつけてくれる素晴らしいエンディングだ。

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