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第五話の犯人役・伊藤沙莉(女流講談師)

伊藤沙莉【Getty Images】
伊藤沙莉Getty Images

『古畑任三郎』に登場する女性の犯人には、理知的な計画犯が多い。

例えば、スペシャル「しばしのお別れ」で登場する華道家・二葉鳳翠(山口智子)は、自身の師匠に光るネックレスを渡し、自身のフラワーアレンジメントの講演中に舞台上から座席を見定めて殺害する。

悲しい運命を背負っているのも彼女たちの特徴だ。例えば、シーズン1の第1話「死者からの伝言」に登場する女流漫画家・小石川ちなみ(中森明菜)は、若くして成功を手に入れてしまったが故に、自身の人生に諦念を抱いている女性として描かれている。解決編では、古畑に追いつめられ、「2階で泣いてきてもいいかしら」と言う彼女だが、その後なんと明石家さんま演じる小清水弁護士の弁護により無罪になるのだから、人生は分からないものだ。

そして、古畑任三郎ファイナルの最終作を飾る「ラスト・ダンス」では、脚本家の大野もみじが、社交的な性格の双子の妹・大野かえでに嫉妬心を抱いて殺害し、彼女になりすます。解決編では、古畑が犯人である彼女にダンスにエスコートするが、彼女は涙で一歩が踏み出せない。『古畑任三郎』は、女性の涙で始まり、女性の涙で終わるのだ。

こういった女性の悲哀は、やはり演技力のある女優でないとなかなか演じきれないことだろう。最近の芸能界だとやはり伊藤沙莉だろうか。筆者としては、独特のハスキーボイスと気風の良さを活かして講談師を演じてもらいたいところだ(師匠役として、神田伯山にもぜひともご登場願いたい)。そして、解決編では、是非とも女優魂を感じさせる滂沱の涙を流してほしい。

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