ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 「モヤモヤする…」映画『シン・仮面ライダー』はがっかり? 面白い? 忖度なしガチレビュー【あらすじ 考察 解説 評価】 » Page 3

「他者を傷つけたくない」
庵野秀明による故・石ノ森章太郎氏へのオマージュ

監督を務めた庵野秀明Getty Images

次に「変わらないモノ」、「変えたくないモノ」について見ていこう。相手が敵であろうと味方であろうと「他者を傷つけたくない」という本郷猛の葛藤は、原作漫画のメインテーマの一つだが、テレビシリーズでは深く掘り下げられることはなかった。

しかし、本作ではそうした原作漫画の「イズム」を理解した上で忠実に再現しており、原作者である故・石ノ森章太郎氏へのリスペクトが感じられ、鑑賞していて実に爽快であった。

また、主題歌、サウンドトラック、アクションシーンもオリジナル版を見事に踏襲している。音楽面は、旧作の原曲を採用。オールドファンたちを納得させるだけでなく、昭和歌謡ブームの昨今においては、現代の若者たちのポジティブな反応も期待できる。このあたりのプロデュースも非常に上手い。

アクションシーンでは、とにかく仮面ライダーがジャンプしてはクルクル回転し、ライダーキックをキメる。かつて子供たちの視線をブラウン管に釘付けにした特撮美が、現代版としてアップグレードされている。

現代の映像技術をもってすれば、ライダーが跳躍し、空中回転で勢いをつけ、敵にキックするまでをワンカットで撮影することは難しくないだろう。

しかし、庵野監督はあえてオリジナルの画面構成を踏襲し、アクションを律儀に複数のカットに分けて描写している。こうしたカット割りは、オリジナルファンはもちろん、旧作を観たことがない世代にも新鮮な感覚を与えるのではないだろうか。

※以降は、予告編や公式サイトでなどでは未発表の、リブート版ならでは改変ポイントや後半の展開について触れているため、未見の方はご注意ください。

1 2 3 4 5 6
error: Content is protected !!