テレビ版よりも魅力的?
本郷猛がコミュ障な性格であるワケ
仮面ライダーのダークヒーローとしての側面に光が当てられることで、本郷の性格もリブートされている。オリジナルでは秀才らしい冷静さと不屈の闘志・情熱を兼ね備えた、ある意味パーフェクトなタイプだったのに対し、本作では口数が少ないコミュ障で、非情になりきれない優しすぎるタイプに変わっているのだ。
その分込み上げてくる彼の感情や想いというものが一挙手一投足からよく伝わってきて、それが彼の悲劇性を高めている。テレビ版で描かれたヒーロー像よりも、むしろこっちのほうが魅力的ではないか、と思えるほどだ。
TVシリーズの『仮面ライダー』、原作漫画版の『仮面ライダー』、両方の要素をうまく取り込んだ上で、今の時代に「仮面ライダー」をどうブラッシュアップさせるか。庵野なりの答えが本作には詰まっている。
宣伝文句のひとつが、「変わるモノ。変わらないモノ。そして、変えたくないモノ。」なのも納得だ。今までの『シン・〜』プロジェクト作品も、それぞれ賛否両論を引き起こしたが、本作も漏れずにそうなっている。筆者が思う、庵野が本作に込めたであろう「変わるモノ。変わらないモノ。そして、変えたくないモノ。」は、本レビューで考察した通りだ。
本作の魅力はまだまだ語り足りないところだが、ひとつだけ余談を。平成仮面ライダーシリーズを経て、いろいろな石ノ森ヒーローがリブート・リメイクされたが、なぜかずっとその対象にならなかった某ヒーローがいる。そのヒーローをモチーフしたキャラクターが、今回ようやく令和のこの時代に登場していることは個人的にちょっと胸熱だった。気になる方はぜひ、本編を見て、お確かめいただきたい。
(文・サデスパー堀野)
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