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浜田省吾、伝説のライブが蘇る。映画『A PLACE IN THE SUN at 渚園』プロデューサー&監督インタビュー

text by ZAKKY

日本を代表するシンガーソングライターである浜田省吾。1988年8月20日に静岡県浜名湖畔「渚園」で開催した伝説の野外ライブ「A PLACE IN THE SUN」を記録した映画『APLACE IN THE SUN at 渚園 Summer of 1988』が公開中だ。監督を務めた板屋宏幸さんプロデューサー・岩熊信彦さんに、この映画にかける想いを伺った。(取材・文:ZAKKY)

1年半かけてフィルム映像をデジタル化
伝説の野外ライブがスクリーンで蘇る

板屋宏幸監督写真宮城夏子

―――この映画はどのような経緯で企画されたのでしょうか?

板屋「この映画の企画を立てたのは2015年でした。『渚園』で使っていないネガフィルムが保管されているのは常に頭の片隅にありましたし、その頃には音楽を映画館で鑑賞するライブ・ビューイングの土壌も育っていました。

『渚園』はエポックメイキングでした。あのライブをビデオ収録をしていたら映画には出来ませんでした。そこから 3年後の2018年に 『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2015-2016“Journey of a Songwriter”』という映像作品が、僕が監督で映画館で公開になりました。そして、その成功が『渚園』の制作の後押しをしてくれました」

―――板屋監督と浜田さんの深い歴史から成り立ったわけですね。

板屋「ネガフィルムのままでは、編集が出来ません。しかも制作当時ですでに30年前のネガフィルムなので、大阪の『IMAGICA』に、ネガのクリーニングを依頼しました。

そして、現在のワイドスクリーンで上映するために、4Kデジタルリマスターという技術を駆使し、当時のフィルム=アナログ映像をデジタル化する作業を、実に1年近くをかけて行いました。1秒を映像化するのに24回スキャン(撮影)しなければならないので膨大な枚数でした」

―――アナログ時代の映像を復刻される作業は、想像以上に大変だと聞きます。

板屋「しかも、ネガフィルムには、音は録音されていませんから、音声は別物なのです。サウンドのマルチテープが残っていたので仮ミックスをしてもらい、そこから、僕のスタッフが映像と音声をシンクロさせる作業にも、3か月ほどの時間を要しました。音源も現在の劇場用にミックスし直しましたし、大音量で楽しめます」

―――映像と音声がまったく違和感なく合致していました。

板屋「そう感じてもらえると、嬉しいです!2020年に公開される予定だったのですが、延期になり、その度に制作も延期になり、公開が決まってマスターが完成したのは今年の3月です。

なので、構想8年、制作を開始して5年、ようやくといったところですかね。僕だけでなく、関わっていただいた多くの人たちの情熱と愛情から生まれた映画です」

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