シャンソン歌手・加藤登紀子の美麗な音色ー音楽の魅力
本作の音楽といえば、まずはジーナ役を演じる加藤登紀子のシャンソンに触れなければならないだろう。加藤は、挿入歌として『さくらんぼの実る頃』、エンディングテーマとして『時には昔の話を』を披露し、作品に大人の趣を与えている。
『さくらんぼの実る頃』が録音されたのは、加藤の親族が経営するライブレストラン「テアトロスンガリー青山」。作中でジーナが歌うシーンさながらの雰囲気で録音されたのだという。
なお本作のBGMは、ジブリ作品でおなじみの久石譲が担当。久石は、本作の制作と同時期に、1920年代をテーマとしたオリジナルアルバム『My Lost City』を発表しており、宮崎は本作のイメージ音源とともに送られた本アルバムを気に入り、「イメージ音源と取り替えて欲しい」と宮崎に懇願したという。
本作の冒頭で使用された楽曲『時代の風ー人が人でいられた時』は、本アルバムに収録された『1920〜Age of Illusion』をモデルとしたもの。金管楽器のファンファーレが高らかに鳴り響き、ポルコの船出にぴったりの曲になっている。
本アルバムからは、『狂気ー飛翔ー』が、ポルコとフィオが修理した飛行艇で飛び立つシーンで使われている。この曲は弦楽器の煽るような音色とピアノの音楽で、観客のスリルを存分に掻き立てる。
また、グロリアがマフィアたちと派手な逃走劇を繰り広げるシーンで流れる「ChaseNo.1」「Chase No.2」では忙しない弦楽器のメロディと木琴の音色が印象的。観客の興奮を煽るのに一役買っている。
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