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シームレスにつながる夢と現実ー脚本の魅力

筒井康隆
筒井康隆【Getty Images】

本作の特徴は、なんといっても夢と現実が地続きにつながっている点が挙げられるだろう。

一般的な映画では、現実のシーンが「地」、夢のシーンが「図」であることが多く、現実世界と夢の世界がはっきりと分離可能になっていることが多い。しかし本作では、「夢を共有できる装置」(DCミニ)が物語の推進力となっていることもあり、どこからが現実でどこからが夢なのかが判然とせず夢の世界と現実の世界がくるくると反転する。そのため、先の展開が全く読めず、観客は目の前のイメージの洪水に身を委ねるしかないのだ。

また、本作の物語に映画が夢のメタファーとして登場する点にも注目だ。例えば、パプリカの患者の刑事・粉川は、毎晩犯人を捕り逃す悪夢に悩まされているが、その夢が実は、映画監督の夢を諦め、親友と別れた自身のトラウマに起因するものであることが徐々に明らかになる。

序盤からサスペンス映画や冒険映画など、さまざまなジャンル映画の主人公になりきっていた粉川は、終盤は理事長と小山内の手からパプリカを救うため、自らスクリーンを突き破り、パプリカが見ている夢の中に潜入する。つまり本作は、映画のための映画、「メタ映画」でもあるのだ。

なお、今は、本作の制作にあたり、原作の『パプリカ』全体を表現するのは無理だと判断。『妄想代理人』(2004年)でタッグを組んだ脚本家・水上清資とともに原作のエッセンスを抽出し、他の筒井作品のオマージュも盛り込んだ形で再構成したという。そういう意味で本作は、今と筒井の共同作品ということができるかもしれない。

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