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天才子役・サルヴァトーレ・カシオの演技に注目~演技の魅力

本作の配役の妙は、なんといっても幼少期のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオの愛くるしい演技だろう。本作に出演した当時は、若干8歳。トルナトーレは、シチリア島に住む300人の少年の写真から彼を選んだという。

なお、カシオはその後ドゥッチョ・テッサリ監督の『ドッグ・イン・パラダイス』(1990年)や、トルナトーレの『みんな元気』(1990年)に立て続けに出演。その後もW杯のテーマソングを歌うなど順調にキャリアを謳歌していたが、13歳で俳優業を引退。

本作のロケ地ともなったシチリア島のレストラン兼ホテルを経営し、現在はトトの顔のラベル付きのオリジナルオリーブオイルを限定販売しているという。

また、アルフレード役のフィリップ・ノワレの演技も注目。『追想』(1975年)や『イル・ポスティーノ』(1994年)でフランスを代表する俳優となったノワレだが、本作では時にトトの“大きなともだち”として、時にトトの人生を導くメンターとして、さまざまな顔を見せている。

フィリップ・ノワレ(第56回カンヌ国際映画祭より)
フィリップノワレ第56回カンヌ国際映画祭よりGetty Images

そして、中年期のトトを演じたジャック・ペランの演技も印象的である。本作では、現実社会で揉まれて哀愁と大人の渋みを漂わせる大人になったトトを繊細に演じている。特にラスト、映画館でアルフレードの形見のフィルムを涙ぐみながら見るシーンでは、どこか少年時代のトトに戻ったかのような無邪気さを感じさせ、涙なくしては見られないシーンとなっている。

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