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伏線回収を期待してはダメ?~脚本の寸評~

共同脚本のアーサー・C・クラークは、20世期を代表するSF作家である。キューブリックとクラークが自由に意見を出し合い、互いのアイデアをもとに執筆したという脚本は、仄めかしや省略が多く、一見しただけでは意味がはっきりと掴めない。

共同脚本のアーサー・C・クラーク
共同脚本のアーサーCクラークGetty Images

とりわけ、「モノリス」の存在理由や詳しい性質については最後まで明らかにされず、物語に伏線回収を求める向きからすれば、いかにも消化不良な印象を受けるだろう。本作をミステリーとして鑑賞した場合、謎を解明する部分がごっそり抜けているため、不完全燃料であることは否めない。

とはいえ、科学技術が人間の知性を凌駕することによって生じる、“人工知能の暴走”というテーマは、テクノロジーの発展目覚ましい昨今、ますますアクチュアリティを強めている。気の利いた物語展開ではなく、インパクトのある映像で人を惹きつけるタイプの作品だが、テーマの先見性は驚嘆すべきものがある。

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