イエスタデイの【ネタバレあり】
この世界でビートルズの楽曲を知っているのはジャック1人である。その状況を逆手に取り、ジャックはビートルズの楽曲を利用してミュージシャンとしての成功を掴もうとする。
行きつけのバーで「レット・イット・ビー」を演奏すると、聴衆は大感動。その場に居合わせたレコード会社のスタッフはすかさずジャックに声をかけ、破格の条件で契約を持ちかける。
さらに、地元のローカル番組で「イン・マイ・ライフ」を演奏したところ、それを視聴した世界的アーティストであるエド・シーラン(本人)がジャックのもとに駆け付け、共演を熱望。ジャックの活躍もあり、モスクワでのエド・シーランのステージは大成功を収めた。
ライブ後の打ち上げ。エド・シーランはジャックに即興で曲を作り、どちらがギャラリーを沸かせられるか、勝負を持ちかける。ジャックはここでもビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を披露。エド・シーランも思わず聞き惚れ、素直に敗北を認めるのだった。
その後、ジャックはエド・シーランのマネージャーを務めるデブラ・ハマー(ケイト・マッキノン)と手を組み、ロサンゼルスでレコーディングを行うことになった。当然のことながら、ジャックは自身の実力でのし上がったわけではない。最初のうちは浮かれた気分でいたが、ビートルズの楽曲を利己的に使うことへの罪悪感に苛まれていく。
そんな中、ビートルズの楽曲の歌詞を忘れてしまったジャックは、地元イギリスに舞い戻った。楽曲のモチーフである「ペニー・レイン」や「ストロベリー・フィールド」といった土地を訪れ、楽曲の記憶を取り戻していく。そんな中、片思いの相手であるエリーと再会。エリーはジャックの成功を喜ぶも、「恋人にはなれない」と告げて、彼のもとを去るのだった。
アルバムが発売されることが決定した。ジャックは「アビイ・ロード」を始めとした、ビートルズのアルバムタイトルを提案するが、レコード会社は反対。彼らはジャックのアルバムを、「ワン・マン・オンリー」(1人だけ)にする方針を固めた。
その後、アルバム発売記念イベントが高級ホテルの屋上で行われ、大成功のうちに幕を閉じる。コンサートが終わり、楽屋で休むジャックのもとにリズと名乗る女性が現れ、「自分もビートルズを憶えている」と告げる。
自身の成功が脅かされると危惧するジャックだったが、リズにそんな気はなく、「ビートルズの楽曲を歌い継いでくれてありがとう」と感謝されるのだった。
ジャックはリズからとある人物の住所が書かれたメモを渡される。そこはなんと、老年のジョン・レノン(ロバート・カーライル)の自宅である。ビートルズが存在しない世界において、レノンは船員として働き、家族に囲まれて幸せな余生を送っていた。
ジャックはレノンとの会話でとある決心を固めた。エド・シーランのライブに飛び入り参加すると、大勢の観客が見守る中、自身の楽曲がオリジナルではなく、すべてビートルズという偉大なバンドのものであったことを告白。そして、すべての楽曲をインターネットで無料公開し、アルバムの発売を取り下げると述べる。
CDデビューの夢を捨てたジャックは音楽教師に復職し、エリーと結婚。子供を儲け、別の道で幸せをつかむのだった。