グラミー賞受賞アーティスト・エド・シーランが登場〜配役の魅力
本作の配役の魅力は、なんといってもエド・シーランのサプライズ出演だろう。エド・シーランは、ルーパーペダルとアコースティックギターが特徴のイギリスのシンガーソングライターで、グラミー賞を4回受賞(ノミネートは14回)し、2017年には大英帝国勲章の第5位を受賞した、名実ともにイギリスを代表するアーティストである。
なお、彼は当然演技未経験。ダニーはエドに1週間みっちりリハーサルに参加してもらい、他の俳優たちの演技をじっくり観察させたのだという。リハーサルの甲斐もあり、エドの演技は全く違和感がなく作品に溶け込んでおり、ジャックの凄さ、ひいてはビートルズの楽曲の凄さを観客に理解させる一助となっている。
主演のジャックを演じるヒメーシュ・パテルについても触れたい。ダニーが「ビートルズの曲を新鮮に聴かせることができる唯一の人だった」と語るように、ハートを感じさせる抜群の歌唱力を見せている。
なお、本作には、もう一人、とあるサプライズゲストが登場する。齢78歳のジョン・レノン。ビートルズが結成されなかった“歴史のif”を描く本作ならではのゲストである。演じるのはイギリスを代表する俳優ロバート・カーライル。特殊メイクのせいもあってか、本人と容姿が瓜二つで、死んだはずのジョン・レノンがそのまま映画に出演しているかのような、なんとも不思議な気持ちになる。ビートルズファンなら感涙間違いなしのシーンだろう。