”救世主”アンディの神秘的な存在感~配役の魅力
本作の演技といえば、やはり主人公アンディ役のティム・ロビンスを挙げないわけにはいかないだろう。
本作の制作にあたり、実際に独房で過ごして囚人や看守と会話をしたというロビンス。小柄な男として記述されている原作とは異なり195cmの長身ではあるものの、彼の華奢で色白の体躯は粗暴な囚人たちの中で明らかに異質であり、まさに受難の救世主というに相応しい存在感を醸し出すことに成功している。
なお、ダラボンは当初、アンディ役にジーン・ハックマンやクリント・イーストウッド、トム・ハンクス、ケヴィン・コスナーといったハリウッドを代表する役者が想定されていたが、出演を見送られ、最終的に、サイコホラー『ジェイコブズ・ラダー』(1990年)を見たダラボンがロビンスの起用を決めたという。
また、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたレッド役のモーガン・フリーマンにも注目。刑務所にやってきたアンディの素質を即座に見抜くその演技は、これまで寡黙で思慮深い役を演じることの多かったモーガンにぴったりの役といえるだろう。
また、モーガンは、作品全体の傍観者として、本作のナレーションも担当。冷静で訥々とした語り口で、粗暴で陰惨な展開が続く本作に奥行きを与えている。