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恐怖を際立たせるクラシックの名曲ー音楽の魅力

映画『シャイニング』俳優のウェンディ・トランス(左)、ダニー・トランス(中央)、ジャック・ニコルソン(右)【Getty Images】
映画シャイニング俳優のウェンディトランス左ダニートランス中央ジャックニコルソン右Getty Images

クラシック好きのキューブリックだけあり、本作でも随所にクラシックの名曲が用いられ、作品の格調を高めている。

例えば、ダニーとウェンディーがラビリンスを歩き回るシーンで使われているのは、バルトーク作曲の「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」(通常「弦チェレ」)。演奏には、『2001年宇宙の旅』同様、へルベルト・フォン・カラヤンの指揮による録音が用いられ、不穏な導入とかきむしるような弦楽器の音色が、観客の戦慄を煽る。

ダニーらが超能力を発揮するシーンで使われているのは、ハンガリーの前衛音楽家リゲティ・ジェルジュ・シャーンドルの楽曲。持続的な金属的な音がシーンの神秘性を高めている。

また、作中最も使われているのは、様々な音程の音を同時に鳴らす「トーンクラスター」の名手であるクシシュトフ・ペンデレツキの楽曲。特に終盤は、「デ・ナトゥラ・ソノリス第1番」「デ・ナトゥラ・ソノリス第2番」「ウトレーニャ」「ポリモルフィア」「ヤコブの夢」など、さまざまな音楽がほとんど判別できない状況で流れ続け、緊迫感を高めている。

なお、本作には、『時計仕掛けのオレンジ』の音楽を担当したウェンディ・カルロスも楽曲を提供。シンセサイザーを駆使した楽曲で作品の奥行きを深めている。

《主な使用楽曲》
『弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』

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