グランド・ブダペスト・ホテル 【ネタバレあり】あらすじ
時は遡り1932年。グランド・ブタペスト・ホテルは質の高いサービスと抜群のロケーションで、ヨーロッパの富裕層から絶大な人気を集めていた。若かりし頃のゼロ(トニー・レヴォロリ)は、同ホテルのベルボーイだ。彼は近くの菓子店で働くアガサ(シアーシャ・ローナン)に恋心を寄せている。ホテルの実質的な経営者であるグスタブ(レイフ・ファインズ)は、統制のとれたマネージメントで宿泊客から厚い信頼を寄せられている。そのうえ、グスタブは年齢を重ねた女性客の夜の相手も務めており、女性ファンも多いのだった。
ある日、グスタブのもとに常連客であるマダムD(ティルダ・スウィントン)の死を報せる手紙が届く。グスタブはマダムDと最後に枕を交わしたとき、彼女が死の不安を口にしていたことを思い出す。グスタブはマダムDの葬儀に出席するために、ゼロを連れて彼女の家に足を運ぶ。
マダムDの豪邸には、沢山の親戚が一堂に会し、遺産相続で揉めに揉めている。遺言には高級絵画「少年と林檎」をグスタブに遺贈する旨が書かれてある。マダムDの息子・ドミトリー(エイドリアン・ブロディ)は、グスタブが母と男女の関係にあったこと知り、憤慨。グスタブを殴り倒し、ゼロもまたその場にいた私立探偵のジョプリン(ウィレム・デフォー)に殴られてしまう。
しかし、策略に優れるグスタブは転んでもただでは起きない。彼は屋敷の執事であるセルジュ(マチュー・アマルリック)を味方につけ、「少年と林檎」を贋作とすり替えて、持ち出すことに成功する。グスタブとゼロは無事ホテルに帰還するものの、すぐに警察がやってきて、グスタブはマダムD殺害容疑で逮捕されてしまう。また、怒り狂ったドミトリーは、ジョプリンを使って母の死に関わった人間を次々と殺害していく。
グスタブは刑務所に収監されると、囚人仲間のルードヴィヒ(ハーヴェイ・カイテル)と共に脱獄を決意。全国に広がるホテル・コンシェルジェのホットライン「鍵の秘密結社」の助けを借りて、牢を抜け出すことに成功する。雪の山頂でゼロ、セルジュと再会するが、少し遅れてジョプリンが出現。セルジュが殺されてしまう。見事なスキー捌きでジョプリンの追跡をかわす2人。不意を突いてジョプリンを崖から突き落とすも、今度は警察から追われるハメに。迫真のチェイスの末、アガサの協力もあって、マルタ島へ逃げ込むことに成功する。
マルタ島ではドミトリーがグスタブたちを待ち構えている。すったもんだの末、現地の軍隊を交えた三つ巴の攻防戦が繰り広げられる。激しい銃撃戦の最中、アガサは足を踏み外し、高所から落下。ゼロは彼女を守るために彼女のあとを追う。万事休すかと思われたが、お菓子が積まれたトラックがクッションとなり、2人は無傷で切り抜けるのだった。さらに落下の衝撃で、ゼロが抱えていた絵画の包装紙が破れ、マダムDの遺言の続きが発見される。そこには、絵画のみならず、全財産をグスタブに贈与する旨が書かれてある。晴れてグスタブは億万長者になり、ゼロとアガサは結婚式を挙げた。
時が戻り、年老いたゼロは作家にその後の人生を語る。戦争が始まり、グスタブは軍から身柄を確保され、銃殺刑に処された。ゼロはアガサと子供をもうけるも、妻ともども流行病で亡くしたのだった。グスタブの遺産を継ぎ、億万長者となったゼロは孤独のうちに生涯を終えようとしている。小説家の男はゼロの話を基に「グランド・ブタペスト・ホテル」という題の作品を執筆。後世でも広く読み継がれる名作となった。