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新人詐欺師のリベンジを描いた犯罪コメディの傑作―演出の魅力

映画『スティング』より【Getty Images】
映画スティングよりGetty Images

本作は、1973年に制作された犯罪コメディ映画。監督は『明日に向って撃て!』(1969)『ガープの世界』(1982)のジョージ・ロイ・ヒルで、脚本は本作が長編デビュー作となるデヴィッド・S・ウォード。フッカーをロバート・レッドフォードが、ゴンドーフをポール・ニューマンが演じる。

本作の見どころは、なんといってもコンゲーム(信用詐欺)の手口の見事さだろう。自身の師匠を殺された新人詐欺師フッカーが、伝説の大物詐欺師ゴンドーフと手を組み、大物ギャングから大金を巻き上げる。その手練手管の鮮やかさになんとも驚嘆してしまう。

また、アメリカン・ニューシネマの代表作『明日に向って撃て!』で一世を風靡したレッドフォードとニューマンのコンビの復活も本作の大きな目玉だ。10歳近く歳の離れた二人だが、本作では前作を上回る息の合ったコンビネーションを見せつけている。

なお、本作は、第46回アカデミー賞で作品賞と監督賞、編集賞など7部門で受賞。主演男優賞をはじめ3部門にノミネートされている。特に、作品賞の受賞は制作会社であるユニバーサル・ピクチャーズにとって『西部戦線異状なし』(1930)以来実に47年ぶりの快挙であり、その後同社はブロックバスター映画を主軸とした一流の映画スタジオとして復活を遂げていくことになる。

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