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陽気な往年のラグタイムの名曲―音楽の魅力

ポール・ニューマン(左)とロバート・レッドフォード(右)【Getty Images】
ポールニューマン左とロバートレッドフォード右Getty Images

本作をコメディたらしめているのは、映像表現だけではない。黒人作曲家スコット・ジョプリンによるラグタイム(黒人音楽をもととした音楽ジャンル)の陽気なムードも作品世界に大きな影響を与えている。

特に注目は、オープニングで用いられる『ジ・エンターテイナー』だろう。ピアノの陽気な音楽とどこか陽気で間の抜けたメロディがオープニングの挿絵と見事にマッチしており、本作のコメディテイストを見事に印象付けている。

なお、いまやブラスバンドやテレビのCMとしておなじみの本曲だが、本作での起用がきっかけで一躍有名になり、ビルボードの全米シングルチャートでは4位を記録。また、作曲者であるジョプリンも忘れられていた存在だったが、本作をきっかけに再評価され、1976年には特別ピューリッツァー賞を授与されている。

また、フッカーがゴンドーフのかつての仲間たちを誘うシーンで流れる音楽は、同じくジョプリンの『パイン・アップル・ラグ』。軽妙なピアノのメロディがテンポよく切り替わるシーンと見事にマッチしており、まるでコントの一シーンのようにも感じられる。

なお、本作で編曲を担当したマーヴィン・ハムリッシュは、本作でアカデミー賞の編曲賞を受賞。彼は、アカデミー賞の他にグラミー賞、エミー賞、トニー賞、ゴールデングローブ賞、ピューリッツァー賞を受賞しており、ハリウッドを代表する作曲家として歴史にその名を刻んでいる。

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