荒廃した世界観を表現するインダストリアルノイズー音楽の魅力
本作の音楽を手掛けているのは、ムーンライダーズのメンバーとして知られる鈴木慶一だ。鈴木は、2003年の『座頭市』以降、本作を含め5作品の音楽を担当。初期北野作品の音楽を担当してきた久石譲と並び、北野自身の作品世界の構築に大きく貢献してきた。
前作『座頭市』では、シンセサイザーを駆使した現代的な音で純和風の音色を表現した鈴木だが、本作では、電子音やインダストリアルノイズを散りばめた無機質な音楽を提供。インダストリアルロックやエレクトロニカの手法を取り入れ、本作の荒廃した世界観を見事に表現している。
本作のオープニングとエンディングに流れるテーマソングでは、空虚で荒々しいインダストリアルなビートに、抽象的な電子音と哀愁漂うストリングスが合わさり、殺伐とした権力闘争の行方を表現している。
なお、本作の音楽の基調をなすノイズは、北野自身の注文とのこと。音楽の制作においては、ベースのみを残したり、逆にメロディを抜いたりと、引き算によって制作し、過剰にならないように気をつけたのだという。
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