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殺し屋役の白竜の衝撃ー配役の魅力

岸辺一徳
岸辺一徳Getty images

本作の最大の配役といえば、なんといっても清弘役の白竜が挙げられるだろう。

もともとアウトローなロッカーとして名を馳せ、ほとんど演技経験がなかった白竜だが、蛇のような執拗さと狡猾さを持ち合わせた殺し屋役を好演している。

なお、彼はその後、本作を皮切りにVシネマやヤクザ映画への出演が増え、徐々に活動拠点を映画へとシフトしていくことになる。

なお、白竜は、当初佐野史郎が演じた警察署長役として出演する予定だったが、途中から殺し屋役に変更になったという。このあたりの土壇場の変更は、北野の慧眼が光っている。

また、仁藤役の岸辺一徳も注目だ。それまではどちらかというと柔和なイメージの役が多かった岸辺だが、本作ではニヒルで不気味な悪の黒幕を好演している。

なお本作には、遠藤憲一や、のちに北野組の主軸を担う寺島進など、今をときめくバイプレイヤーたちも端役で出演している。特に遠藤は、2023年公開の『首』にメインプレイヤーの1人である荒木村重役で出演。34年ぶりの北野映画出演となった。

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