生理的嫌悪感を喚起するクリーチャーの造形〜映像の魅力
本作の映像に関していえば、やはりクリーチャーが襲来するシーンに触れないわけにはいかないだろう。造形自体はチープでリアリティに欠けるものの、生理的に来る映像があちこちに散りばめられているのである。
特に注目は薬局のシーンだろう。白い糸に絡めとられたMP(ミリタリーポリス)の身体を突き破り、蜘蛛型のクリーチャーが文字通り“蜘蛛の巣を散らしたように“散らばっていく。その描写には思わず目を背けてしまう。
なお、本作に登場するクリーチャーは、「触手型」「昆虫型」「翼竜型」「大蜘蛛型」「大蟹型」「巨大親玉」の計6体。
生物のデザインを担当したのは『死霊のはらわた』シリーズで知られるグレゴリー・ニコテロで、スタジオは映画『パンズ・ラビリンス』(2006年)で視覚効果を担当したスタジオがギレルモ・デル・トロ監督本人の勧めで採用されたという。
制作にあたっては、ニコテロが1980年代にダラボンが描いた生物のスケッチをもとに過去の生物デザインを参照し、肉付けしていったという。
また、人間とクリーチャーが戦うシーンでは、人形の動きをデジタル的に記録するモーションキャプチャー技術が用いられ、臨場感あふれるシーンに描かれている。