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ギャング映画史に残る永遠の名作ー演出の魅力

監督のフランシス・フォード・コッポラ【Getty Images】
監督のフランシスフォードコッポラGetty Images

一般的に、名作映画の続編は第1作よりも評価が劣る場合が多い。しかし中には第1作に勝るとも劣らない面白さを誇る続編映画もあるにはある。本作『ゴッドファーザー PART Ⅱ』もそんな作品のうちの一つだ。

監督はフランシス・フォード・コッポラで、脚本はコッポラと原作者のマリオ・プーヅォによる共同執筆。”二代目ゴッドファーザー”マイケルをアル・パチーノが、”初代ゴッドファーザー”ヴィトーの若かりし頃をロバート・デ・ニーロが演じる。

前作『ゴッドファーザー』では、名優マーロン・ブランドを主演に、マフィア一家の栄枯盛衰を重厚な叙事詩として描いたコッポラ。続編となる本作では、前作の主人公ヴィトーの青年期とヴィトーの息子マイケルの一代記を交互に描いており、いわば2本分の映画を1本にまとめた形になっている。

ちなみに、コッポラは当初、本作の制作を渋っていたが、配給会社のパラマウントから制作に対する全面的な決定権と事実上無制限の予算を約束され、制作に着手。結果的にアカデミー賞では作品賞を含む9部門にノミネートされ、作品賞・監督賞・助演男優賞・脚色賞・作曲賞・美術賞を獲得。現在に至るまで、アカデミー作品賞を受賞した映画の続編が再び作品賞を受賞した例は存在しない。

個性のある登場人物の躍動、ニューヨーク・マンハッタンのイタリア移民街で行われる盛大な祭り、キューバ革命のシーンなど、見せ場にはこと欠かない。

静と動、緊張と緩和を駆使した演出で前作『ゴッドファーザー』をクラシックに仕立て上げたコッポラは前作でみせた演出をブラッシュアップ。権力者へと上り詰めていくヴィトー(デ・ニーロ)のほとばしるエネルギーと、すでに権力を手にし、没落の気配が見え隠れするマイケル(パチーノ)の負のエネルギーを交差させることで、前作以上のスケールとダイナミズムを作品に与えることに成功している。

なお、『ゴッドファーザー』シリーズは、マイケルの最期を描いた『ゴッドファーザー PART Ⅲ』で幕を閉じる。しかし、同作は、前2作品ほどの評判は得られず、アカデミー賞の獲得もできなかった。

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