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ロバート・デ・ニーロの出世作ー配役の魅力

ヴィト―役のロバート・デ・ニーロ【Getty Images】
ヴィト役のロバートデニーロGetty Images

本作のMVPは、なんといっても若きヴィトーを演じるロバート・デ・ニーロだろう。

実は前作のオーディションに参加していたデニーロ。役のイメージと合わず前作では起用はされなかったものの、コッポラは存在感や演技力を気に留めており、マーティン・スコセッシの『ミーン・ストリート』(1973)を見て改めてオファーをしたという。

デニーロは本作で英語をほとんど話さず、シチリア方言のみで通しているものの、一家のドンへと成長していく青年の姿を見事に演じ、アカデミー助演男優賞を受賞。ヴィトーはマーロン・ブランドの主演男優賞と併せて2つのオスカーを獲得した、映画史に残るキャラクターとなった。

そして、マイケル役のアル・パチーノも前作同様に冷酷なキャラクターを公演。マフィアの非情さをこれでもかと見せつけている。

前作では偉大なる父の跡目を継ぐ悩める秀才を繊細な芝居で演じたが、本作では悩みの質が変化している。権力を手に入れてのぼりつめ、裏切りの世界に身を投じ、人間不信に陥る姿が生々しい。

前作と本作の間は2年しか経っていないにもかかわらず、前作から打って変わってすっかり老成した雰囲気を醸し出してみせたアル・パチーノの芝居には誰もが驚かされるに違いない。

また、ヴィトーの母親役は、イタリア人シンガーソングライターのマリア・カルタが好演。さらに、マイケルのボディーガード役は、ハンガリー出身の彫刻家アメリゴ・トットが演じている。こういった非本業俳優を起用した個性的なキャスティングも本作の魅力だろう。

『ゴッドファーザー PART II』の実質的な黒幕はマイアミを根拠地とするユダヤ人のボス・ハイマン・ロス。演じるのは、メソッド演技法を確立した20世紀を代表する演技指導者、リー・ストラスバーグ。ニューヨークのアクターズ・スタジオの芸術監督として、マーロン・ブランド、ジェームズ・ディーン、ダスティン・ホフマンなど数多くの名優を指導。監督を務めたコッポラが「この人に演技指導するのだけはためらった」と後に回顧するほどの大物である。本作では深みのある芝居で、作品の負の中心とでも呼ぶべき役割をしっかりと果たしている。

他にも、前作から引き続き登場する次男・フレド(ジョン・カザール)、ファミリーお抱えの弁護士トム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)など、錚々たる名優が演じる人気キャラの活躍どころも豊富。特に、トム・ヘイゲンが、マイケルと対立し、FBIに保護されているファミリーの元幹部・フランクと面会するシーンは語り草だ。

このシーンでトムがフランクに対して告げる「ローマ帝国では皇帝に謀反を企てた者でも、自殺すれば家族の面倒を見てもらえる」という言葉はシリーズ屈指の名台詞である。このセリフをきいたフランクは家族の身を守るため、浴槽にて手首を切って自殺する。

ちなみにフランクがマイケルを裏切った理由は、マイケルの命によって設けることになったロサト兄弟との和解の場で、首を絞めて殺されそうになった際、兄弟の一人が「マイケルがよろしくとよ!」と叫んだことから、マイケルに消されそうになったと勘違いした(実際はハイマン・ロスが裏で糸を引いていた)ことに起因する。

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